株式会社ハーズ実験デザイン研究所
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AWRDを活用!「生野ものづくりタウン事業」成果報告会(2/29開催)

2/29開催された「生野ものづくりタウン事業」の成果報告会。

「生野ものづくりタウン事業」は、大阪府・生野の町工場とクリエイターが協力してものづくり力を向上させ、地域経済を活性化することを目指して、大阪市生野区役所と公募で選定された実施事業者・株式会社友安製作所が始動したプロジェクトです。オンラインでコンペティションを開催できるAWRD(アワード)を活用し「生野ものづくりタウン事業」 を立ち上げました。

この事業の進捗やプロダクトの詳細を共有する場として、さる2月29日、リゲッタIKUNOホール(生野区民センター)で、事業成果報告会が開催されました。会場には多くの来場者が集まり、参加企業とクリエイターによるプレゼンテーションと進行中のプロトタイプの展示、また同時進行で来場者によるブレインストーミングも行われ、生野のものづくりの活気を感じる場となりました。弊社代表である村田智明は審査員の一人として、皆様と共に取り組ませていただきました。

ものづくりを推進するプラットフォームAWRD(アワード)とは

AWRD(アワード)は、地域資源とクリエイティビティを掛け合わせることで、新しい価値の創造、活性、発信を生み出すエンジンとして、あらゆる領域でさまざまなプレイヤーを繋ぐプラットフォームとして50件以上のプロジェクトを展開してきました。まだ見ぬ新たな価値を創出する接続点としたAWRDサービス概要は以下リンクをご覧ください。(地方創生へのイノベーション事例が掲載されています)

https://awrd.com/business/cases/awrd-local

町工場とクリエイターが共に創るプロジェクト「生野ものづくりタウン事業」

生野は、1800件近くの製造業事業所と60カ国の国籍をもつ住人が集まり、古くから国際的な視点で海外にものづくりを学んできたルーツを持っています。そうした多様性のある街だからこそ化学反応が生まれたり、小ロットでも試作対応可能であったりと、対外的にも注目を集めている地域でもありました。この企画を生野区役所に提案したのは、友安製作所執行役員の松尾泰貴さん。ものを作って終わりではなく、制作の過程から販売へ、そしてものづくりが街へ浸透し、発展していくまで町工場とクリエイターが共に創っていくのがテーマだと松尾さんは語っておられます。

「全国各地でものづくりアワードが増えてきています。この事業も継続してブランディングを醸成して欲しい。試作を重ねて途中でもバイヤーに意見をもらいながら作り続けていると、販売につながります」と、“継続”の大切さについて村田智明から語らせていただきました。同じく審査員であり主催の友安製作所CEO友安啓則さんからは「私自身、ものづくり企業としてクリエイターさんとの出会いで教わることが多かったので、両者の通訳となれるような多角的な視点で意見を出したいです」とのコメントをいただきました。

初年度となる今回のテーマは「暮らしに彩りをくわえるプロダクト」。

生野のものづくり企業4社が参加して、全国各地のクリエイターから複数のアイデアを募集し、審査の結果、各参加企業からそれぞれ一点のアイデアが選定されました。初めてのお披露目ということもあり緊張感が漂うなか、松尾さんからの音頭とともに会場から温かい拍手が沸き起こり、参加企業4社の代表者が舞台に立ちました。

1.近未来型ウォーキングシューズ「Teraco(テラコ)」 <株式会社リゲッタ>

生野で創業56年、主にサンダルの下請け製造を行う靴工場に生まれた高本やすおさんは、デザイナーの清水覚さんとともに「未来からやってきた」をコンセプトに「Teracoテラコ」を生み出しました。今回参加された理由は靴業界歴30周年を機に、理想のウォーキングシューズを作るため。下駄の履きやすさを取り入れたコンフォートシューズ「Re:下駄=REGETTA」を開発。以来、業界異例950万足を売り上げるまでに成長させた方でもあります。

村田智明コメント:デザインの調整や製品価値の向上を提案したプレゼンの完成度の高さ、商品化に期待が膨らみます。3年ほど先延ばしして待ち焦がれさせるのもいいかもしれない。未来的な発想もとてもいいけれど、紐周りの扱いや丸みのなかにエッジの効いたデザインが加わるといいと思います。

 

2.多機能性ステンレス調理器具「Cooker Plate(クッカープレート)」 <株式会社三栄金属製作所>

1970年の創業以来、生野、東大阪、そしてベトナムに工場を持ち、金型の設計製造から加工、組み立て、検査までを一貫して行う事業をグローバルに展開している三栄金属さん。デザイナーの川田敏之さんとともに開発したのは、「楽して美しく食器を楽しむ」がコンセプトの調理器具にも食器にもなる多機能キッチンウェアでした。得意とするシステムキッチンの水回り製品をアレンジ、蓋とパンチングボウル、平皿の三重構造で、野菜や果物を洗ってそのまま盛り付けたり、蒸し器や燻製器にもなる多様な用途を設定し、また金属特有の上質さとスタイリッシュなデザイン、スタッキング可能な収納性を生かして生活空間を彩る提案をされました。

村田智明コメント:第一印象が綺麗で、とても端正な感じが伝わってきました。黒染めなどのカラーやサイズのバリエーションを考えてシリーズ展開を期待したい。蒸し器の解説など、調理関連のプレゼンには断面図が欲しい。薫製の煙の発生源や一酸化炭素の排出については検討が必要。価格設定を教えてください。

 

3.本革ランドセルを一生物の箱へ「KOBAKO」 <株式会社 生田>

1950年に鞄製造業として創業した生田さん。大量生産に疑問を持った先代がランドセルの自社販売を開始し、2006年に「ランドセル工房生田」として昔ながらの手法で丁寧にランドセルを作り続けています。地場産業として再びランドセルを発展させたいという思いから、今回の参加を決められました。デザイナーの大杉和美さんが打ち出したのは「一生をともにする箱」というコンセプト。ランドセルを使う6年間だけでなく、その後の人生においてもランドセルとのつながりを大切にし、新たなつながりを築くためのブランド展開でした。

村田智明コメント:永く使うという意味では手帳カバーなどの展開もあるといい。自身の経験でも牛が怪我をして傷ついた皮を避けないで使ったことがあり、とても評判がよかった。ランドセルについた傷の部分をそのまま使うことで思い出と重なり、背景感性を揺さぶるものになる。

 

4.アルミタイル「THREE THOUSAND TILES (スリーサウザンドタイルズ)」 <有限会社 電研>

約60年の歴史を持つアルマイト(アルミニウム加工)技術開発をしてきた電研さんは、生野のものづくりを発展させるため「作り手の次の手を生み出す」をテーマに参加されました。デザイナーの石井一東さんと日野達真さんが廃材とメーカーの技術で新たな価値を生み出してきた「SAKAIプロジェクト」の一環として、新しいアルミタイル「THREE THOUSAND TILES (スリーサウザンドタイルズ)」を開発されました。コンセプトは「1000色以上のカラーバリエーション、1000枚以上を1日以内に仕上げる、1000年以上技術を残す」。

村田智明コメント:施工時の便宜性はあるが、コーナー部分などをどうするかは課題。SDGsに貢献するというのがとても大切。これからの時代の建築材として注目を浴びると思います。

「生野ものづくりタウン事業」は来年度も事業継続が決定!

参加企業とクリエイターの皆さんの“共創”の成果がダイレクトに伝わり、主催者、来場者も、ものづくりの感動を共有できて、また新たな視点を得られるような活気溢れる報告会でした。来年度も事業継続が決定している「生野ものづくりタウン事業」。今後とも、地域社会、企業、そしてクリエイターが協力し合いながら地域経済と製造業の発展に貢献し、さらなるイノベーションを生み出すプロジェクトとして進化していくに違いありません。

https://awrd.com/blog/2024/4/monotown2023_report

(引用:AWRD 2024/4/12記事 “共創”でものづくり力の向上と地域の発展を目指す、「生野ものづくりタウン事業」成果報告会レポート)

 


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