株式会社ハーズ実験デザイン研究所
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安心・安全・正確な輸液のためのデザイン”SEEVOL”

抗がん剤による化学療法の現場では、輸液ポンプもしくは医薬品注入コントローラが使用されるのが一般的なのですが、どちらにもメリット、デメリットがあり安全な輸液と時間管理の両立が困難な状況でした。

そこで、村田製作所では業界初のカメラによる液滴検知により、落下する1滴当たりの体積を瞬時に算出する新たな輸液ソリューションを開発。どの設定流量においても補正の必要のない正確で安定した輸液を可能とし、従来の輸液方法のメリット「輸液精度が高い」、「自然落下式で血管外漏出のリスクの低い」という特徴を合わせ持ち、且つ「血管外漏出時のリスクが高い」、「薬剤ごとの補正値を計算・入力しなければならない」「多種多様な薬剤を時間通りに輸液できない」という課題も解決する、安心・安全・正確な輸液コントローラを実現しました。

ハーズではハードウェアデザインに合わせ、ヒューマンエラーを防止し、誰でも迷いのない操作・対処を可能にするUIデザインから、ネーミング、ロゴデザインまでトータルでブランディングを担当しました。

バグを減らし、医療事故防止につなげるソリューションデザイン

“SEEVOL”では、業界初のカメラによる液滴検知機能により、正確に薬剤一滴一滴の体積を算出することが可能で、薬剤ごとの薬剤含有成分により変化する液滴サイズの補正値入力の必要がないため、流量補正の計算間違い等のヒューマンエラーを低減することができます。

また、予定量と流量の誤入力を防止するため画面上表示文字と操作ボタン色を識別しやすい色で対応させ、操作ボタン上の文字も大きく見やすくすることで、誰でも明確に識別できるように配慮しました。

誤入力といったヒューマンエラーによる医療事故の発生を防止し、従来の輸液方法が抱える課題をテクノロジーとデザインによって解決しています。

 

使うヒトの習熟度に左右されない、万人に優しいユーザビリティ

ソフト面においても、ユーザが操作を迷ったり、エラー警報時に混乱してしまうことがないように操作手順や機器の状況を簡単に把握することできるアニメーション表示を採用するなどユーザーフレンドリーなインターフェースで、安全でシンプルな輸液を実現しています。

また煩わしかった点滴筒のセットは、片手で押し込むだけのフラップ機構を取り入れ、安全な取り外しに配慮したスイッチや指のかけやすいフラップ形状など、使用経験の少ないユーザにも優しいユーザビリティを意識したデザインにしました。業務負担に繋がりかねない操作方法の迷いやストレスを無くし、使うヒトの習熟度に左右されない満足度の高いUIデザインにこだわりました。

 

ネーミング、製品ロゴまでトータルで提案するブランディングデザイン

製品デザインと合わせてネーミング、ロゴデザインまでトータルでハーズがブランディングを担当しました。
ネーミングは、今回のSEEVOLのカメラを使用して落下する薬剤一滴一滴を測定するという革新的なソリューションが製品の核であると考え、VOL(体積)をSEE(見る)という2つの単語を掛け合わせた造語で表現しました。

 

アワード2冠受賞

化学療法の現場で問題であった機器のデメリットを払拭した進歩に加え、ユーザの迷いを払拭する明快なアニメーションによるナビゲーション、点滴筒を簡単にセットできるフラップ機構など、熟練者でなくとも安心、安全に使用できるユーザビリティを評価され、2022年グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)、2022年JIDAミュージアムコレクションを受賞いたしました。

Client:村田製作所 2022年


Category :
Product Design
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