感性の可視化によって、作り手と受け手の共感点のデザインが見えてくる
私たちのマーケットでは、既に「機能と価格で商品価値を判断する」時代は終わり、ユーザーの感性に働きかけ、感動や共感を得ることで顕在化する「感性価値」がサービス創出やモノづくりに必要な資源となっています。しかし、感性の及ぼす効果を数値化しにくいため、企画に反映されないケースが多いのも事実です。そのために、わたしたちは企業やその商品、人物、地域が持つ背景やエピソード、歴史をはじめ、技術に込められた思いなどの感性情報に対し、誰にどの情報をどのように発信するのが最も効果的に繋がり、共感を得られるのかを考え、サービス創出や商品開発を感性の観点から探る思考法の開発を行いました。
感性のポテンシャルを測る5つの手段
感性表現マトリックス(Matrix that Expresses Sensibility)
発信者には「ときめき」を与えるモノでも、受信者にとってはNG。逆に発信者が「ときめかない」モノでも、デザインによって受信者に共感を与えることができるかも知れません。日常の「ときめかない」モノを見つけ、そこに共感点を創ることで、眠っていた商品に商機を与える仕組みを考えました。
ダイバーシティ思考(Diversity Thinking)
ワークショップなどの限られた時間・環境の中で、思考の奥行きを拡げることは困難を極めます。そこで、囚われていた常識の範疇から離脱し、新たなビジネスプランや製品価値を生み出すアシストとして、人的価値、物的価値、情報価値、時間価値、場の価値のキーワードをベースに、一旦思考を分解し、再構築する思考法を考案しました。
体験ビジネスマップ(Experience Business Map)
人は日常の受動的な暮らしを享受する反面、積極的に非日常を取り入れようとする志向があります。この反動的な行為が人にバランスをもたらしているとも考えられます。これを受動と能動の縦軸、ハレとケの横軸でグラフ化し、特定分野の行動をプロットすることで、日常の受け身のサービスや製品に商機をもたらすアイデアを生み出すことができます。
購買行動から考える事業プラン(Business Plan Based on Purchasing Behavior)
初めてサービスや商品に出会うタイミングで、勝ち負けが決まる時代になりました。つまり、商品に直接出会わなくてもネット情報だけで勝負は決まっているのです。この思考では、購買行動を4つに分けて、ユーザーがどこで商品に出会い共感を得るのかを考え、そのタイミングを予め商品企画に織り込むためのツールを提供しています。
感性価値ヘキサゴングラフ(Hexagon Graph for Sensibility Value)
発信者が自社の商品や企業の訴求ポイントを見落としているために、本来あるべき効果を発揮できていないケースが多く見られます。そこで、私たちは発信者の感性情報を6つに分類し、訴求点と弱点を可視化したうえで、誰に対してどういった戦略で発信するかを直観的に考えることのできるグラフを考案しました。